2026年6月23日火曜日

▶当たり前の日常という奇跡 ――横浜大空襲の記憶をたどって

 




▶当たり前の日常という奇跡 ――横浜大空襲の記憶をたどって

5月30日、私は「横浜大空襲と戦後直後のお話を聞く会」という講演をお聴きしました。

1945年5月29日から30日にかけて行われた横浜大空襲では、約4,000人もの尊い命が失われたといいます。何の罪もない市民が一夜にして命を奪われ、街そのものが焼き尽くされました。その悲惨さは、戦争を知らない私たちの想像をはるかに超えるものです。

しかし、この講演で私が強く心を動かされたのは、命を失った方々への追悼の思いだけではありませんでした。生き残った人々が、その後どのような現実に向き合わなければならなかったのかというお話でした。

講師のお父様は、戦前、宝石や時計を扱う商売を営み、比較的裕福な暮らしをされていたそうです。しかし空襲によって家も財産も失い、戦後は衣類の行商をしながら家族の生活を支えなければなりませんでした。

特に印象に残ったのは、戦後の食糧難の時代のお話です。当時はお金があっても品物が手に入らず、かつて高い価値を持っていた着物や宝石を農家へ持って行き、米やサツマイモと交換して食料を確保していたといいます。

平和な時代には誰もが価値あるものだと考えていた宝石も、生きるための食べ物の前では意味を失ってしまいました。この話は、私たちが当たり前だと思っている社会の仕組みが、決して当たり前ではないことを教えてくれます。

私たちは現在、コンビニに行けばいつでも食べ物を買うことができ、水道の蛇口をひねれば水が出て、スイッチを押せば電気がつきます。お金さえあれば必要なものは手に入ると考えています。しかし、それは平和で安定した社会があってこそ成り立つものです。

戦争は人の命を奪うだけではありません。人々が長い時間をかけて築いてきた暮らしや文化、経済活動、地域社会などを根底から破壊してしまいます。そして、その影響は戦争が終わった後も長く人々の人生に影を落とし続けます。

現在も世界の各地では紛争が続いています。科学技術は飛躍的な発展を遂げましたが、ドローンなどの技術が人命を奪うために使われている現実があります。本来、人々の暮らしを豊かにするための知恵や技術が破壊のために用いられることに、私は大きな矛盾を感じます。

戦後80年以上が過ぎ、戦争を体験した方々の生の声を直接聞く機会は年々少なくなっています。だからこそ、私たちは体験者の語りに耳を傾け、その記憶を次の世代へ伝えていかなければならないと思います。

子どもたちには、単に歴史上の出来事として戦争を知識として学ぶだけでなく、「もし家族や友人を失ったら」「もし今の暮らしが突然なくなったら」と自ら考えて想像してほしいと思います。その想像力こそが、命の尊さや平和の大切さを自分自身の問題として考える第一歩になるからです。

私は戦争を体験していません。しかし、戦争体験者の方々から受け取った貴重な証言を語り継ぐ責任はあると思っています。

平和とは、決して当たり前に与えられるものではありません。多くの犠牲の上に築かれ、守られてきたものです。だからこそ、私たちは日々の何気ない暮らしの尊さを忘れず、二度と同じ悲劇を繰り返さないという決意を持ち続けなければなりません。

講演を通じて、そのことを改めて深く考えさせられた一日となりました。

2026年6月17日水曜日

第51回(令和8年度)神奈川県消防救助技術指導会観戦記

 第51回(令和8年度)神奈川県消防救助技術指導会観戦記




厚木で開催された神奈川県消防救助技術指導会を観戦する機会がありましたので行ってきました。

【第51回(令和8年度)神奈川県消防救助技術指導会】
・日程:令和8年6月17日 水曜日
・時間:午前9時30分~午後4時15分
・場所:神奈川県総合防災センター 神奈川県消防学校(厚木市下津古久280)

海老名から小田急線に乗り、愛甲石田駅で下車。会場の神奈川県総合防災センターまでは徒歩で30分ほどです。開会式が始まる9時30分少し前に神奈川県総合防災センターへ到着しました。目の前には巨大な施設がそびえ立っていましたが、敷地が広いため会場までさらに歩かなければなりませんでした。

開会式は厳粛な雰囲気の中で行われ、整然とした隊員たちのきびきびした行動に清々しさを感じました。その姿を見ていると、中学や高校の体育祭の開会式を思い出しました。しかし、その規律や緊張感は比べものにならないほどで、人命を預かる職業の重みを感じさせるものでした。

競技はスピードと正確さによって判定されます。事前説明の中で、「審判の判定は絶対であり、一度下された判定は覆らない」と説明されました。その厳格さに、私はどこか武士道にも通じる精神を感じました。

訓練は陸上の部と水上の部に分かれており、さらに複数の種目があります。私は陸上の部の「引揚救助」を中心に見学しました。陸上の訓練はA塔、B塔、C塔という三つの塔を使用して行われます。引揚救助は最も高いA塔で実施され、負傷者を救助し、塔の上まで引き上げる速さと正確さを競います。A塔は地上約18メートルもあり、一般の人なら登るだけで足がすくんでしまう高さです。





ところが隊員たちは、ロープを巧みに操りながら迷いなく行動していきます。その動きは無駄がなく、まるでオリンピックに出場するアスリートを見ているかのようでした。日頃の厳しい訓練の積み重ねがあってこその技術なのだと実感しました。訓練は午後2時頃まで続きましたが、私は午前中で会場を後にしました。






開会式では、この指導会が神奈川県内の消防本部を代表する救助隊員たちが一堂に会し、日頃鍛えた技術を競い合う場であること、そして救助活動に不可欠な体力・精神力・技術力を養うとともに、各消防本部間の連帯意識を高めることを目的としていると説明されました。また、殉職された消防職員に対する黙とうも捧げられました。その時、消防という仕事が常に危険と隣り合わせであることを改めて考えさせられました。





私たちはニュースで消防士が消火活動をしている姿を見ることがあります。しかし、その映像の背後には、日々繰り返される地道で厳しい訓練があります。その積み重ねがあるからこそ、火災や災害の現場で迅速かつ的確な活動ができるのでしょう。こうした訓練によって私たちの安全な暮らしが支えられていることを思うと、感謝の気持ちでいっぱいになります。今回の見学は、消防士の方々を見る目を大きく変えてくれた一日となりました。

日々、自らの危険を顧みることなく人命を守るために尽力されている消防士の皆様に、心から「ありがとうございます」と申し上げたいと思います。




【閑話休題】

愛甲石田駅に少し早めに到着したので、駅から歩いて5分ほどの場所にある愛甲大塚古墳を訪ねてみました。

愛甲大塚古墳は4世紀頃に造られた全長80~90メートルの前方後円墳です。平安時代頃に前方部が削り取られてしまったため、古くから「車塚」と呼ばれていたそうです。現地は住宅街の中にあるこんもりとした小山で、説明がなければ古墳とは分からないような場所でした。しかし頂上には小さな祠が祀られており、1700年もの長い間、この場所が墓として人々の敬意を集めてきたことを感じさせてくれました。

Googleマップを頼りに歩いていたのですが、途中で地図上の道が見当たらなくなり、少々苦労しました。便利な時代になったとはいえ、最後は自分の足と目で確かめながら進むしかありません。思いがけず、ちょっとした探検気分を味わうことになりました。








2026年5月25日月曜日

▶令和8年度薬物乱用防止講演会 2026年5月14日(木)

 



▶令和8年度薬物乱用防止講演会

■ 日時:令和8年5月14日(木) 13:00~16:15

■ 会場:横浜市開港記念会館 (横浜市中区本町1-6)

■ 第1部 13:00~14:30

・演題:オーバードーズ、それは言葉にならない『助けて』~“やめさせる”前にできること
・講師:地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立精神医療センター 医長 西村康平氏

・感想:講演を受講した感想を書きます。

近年、覚醒剤の検挙者数は減少傾向にある一方で、大麻の使用や市販薬などによるオーバードーズは増加していると言われています。これらは比較的安価で入手しやすく、若年層にも広がっていることが問題視されています。

こうした薬物使用の背景には、習慣化した自傷行為が関係している場合があります。自傷行為は、自殺願望とは必ずしも同じではありません。むしろ「死にたい」というより、「今の苦しさから逃れたい」「どうにかしたい」という切実な思いが根底にあることが少なくありません。

その背景には、発達過程での傷つき体験や、人間関係における不信感が存在することがあります。人に裏切られた経験から「誰にも頼れない」と感じ、自分だけで苦しみを抱え込んでしまう。そして、その苦痛を和らげる手段として薬物や自傷行為に依存していくのです。人は裏切ることがあっても、薬や自傷行為は自分を裏切らない――そのような屈折した安心感を持ってしまう場合もあります。

そのため、回復支援においては、単なる説教や禁止だけでは十分な効果を期待できません。「薬物は絶対にダメだ」と繰り返すだけでは、本人の孤独や苦しみには届かないことがあります。まず必要なのは、本人の気持ちや背景を理解し、その苦しみに寄り添うことです。本人の思いを受け止め、時には代弁しながら対話を重ねることで、自ら「やめたい」と思えるよう支援していくことが大切です。

また、本人の感情や行動を頭ごなしに叱責したり、過度に管理したりすることは、かえって反発や孤立を深める場合があります。見守りながら自立を促し、本人自身が現実を受け止め、自らの課題として向き合えるよう支援していく姿勢が求められます。最終的には、「自分で決める」という主体的な決断が回復への大きな力になります。

さらに、支援者は、対象者がなぜオーバードーズに至ったのか、その経緯や背景を丁寧に理解する必要があります。同時に、支援を継続していくためには、支援者自身が燃え尽きないことも重要です。支援者同士が悩みや負担を共有し、時には愚痴をこぼし合える関係を持つことも、持続可能な支援には欠かせないのだと思います。


■ 第2部 14:45~16:15

・演題:講師力アップのための話し方講座~相手に“理解される”話し方とは~

・講師:株式会社インソース 講師 蛯原恵子氏

・感想:講演を受講した感想を書きます。

1.良い講師とは

良い講師とは、受講者のことを思い、「内容を理解してほしい」という気持ちを持って、粘り強く話ができる人である。単に知識を伝えるだけではなく、「なぜそうなのか」を受講者が納得できるよう、説得力を持って説明することが大切である。

また、講師が称賛されたいとか、偉そうな態度を取ることは慎むべきである。反対に、必要以上に萎縮して自信のない振る舞いをすることも望ましくない。落ち着きと誠実さを持って受講者に向き合う姿勢が重要である。

2.インストラクションスキル

研修講師には、受講者に物事を教え、教育目標を達成させるための指導力が求められる。単なる一方的な説明ではなく、受講者の理解や自発的な行動を引き出すための対話力や伝達技術が必要である。

特に、本題に入る前の「つかみ」が重要である。落語でいう「まくら」の部分にあたり、受講者の関心を引きつける役割を持つ。ただし、長すぎると集中力を失わせてしまう。

また、あまりに易しすぎて当たり前の話ばかりでは退屈になり、逆に難しすぎると話についていけなくなる。自分自身の経験談や考えを交えることで、受講者の興味を引きやすくなる。

さらに、講師が安易に答えを示すだけではなく、受講者自身に考えさせる工夫も必要である。

3.コミュニケーションスキル

講師には、話の内容だけでなく、態度や表情、話し方も重要である。

受講者に背を向けないこと、お辞儀を丁寧にすること、適切なジェスチャーを用いることなど、基本的な所作を大切にしたい。腕を組んだり、ポケットに手を入れたりするような偉そうな態度は避けるべきである。

できるだけ笑顔を心がけ、口角を上げることで柔らかな表情になる。スクリーンばかり見ず、受講者の方を見ながら話すことも重要である。少しずつ全員と目を合わせ、アイコンタクトによって理解度を確認しながら進める。また、自分自身の話し方や仕草の癖を知ることも大切である。

声についても強弱をつけ、重要な点は大きな声で、ゆっくりと話す。受講者が文字を目で追える程度の速さを意識し、資料に書かれていること以上の話をしすぎないことも必要である。一方で、資料をそのまま読み上げるだけにならないよう注意したい。

さらに、専門用語やカタカナ語はできるだけ避け、分かりやすい言葉で説明することが望ましい。「~だと思います」など、自信のなさそうな曖昧な表現も避けたい。

もし質問を受けて分からないことがあった場合には、無理に答えようとせず、「確認して後ほどお伝えします」と誠実に対応することが信頼につながる。

2026年5月21日木曜日

元麻薬取締部長(マトリ)が明かす今激変する薬物事情(2026年 5/11(月)16時~18時)

■ 場所:ホテルプラム(横浜駅西口)

■ 講師:元厚生省麻薬取締官 瀬戸晴海氏

■ 主催:曹洞宗保護司連合会 神奈川県第二支部

1.薬物の脅威と不安、トレンド
2.激増する大麻
3.進化する薬物密売の手口

ゾンビタバコ、ケタミン、エトミデートなど新しい薬物が次々に開発されている。麻酔薬として開発さてたものがほとんどだが、それが悪用されている。麻酔薬は治療には絶対必要なものでなくなることはない。それが悪用されているので防ぎようがない。

大麻も増えている。大麻は生活の中で古くから使われているもので、これがなくなると困ることが多い。海外では大麻の使用が解禁されているという情報が蔓延しているが、解禁している国は、ほんの一握りで、ほとんどの国は日本と同じように禁止している。

解禁している国は、苦肉の策で行っているが、解禁したことで成功した国は一つもない。解禁したことを後悔している。

SNSを利用した密売がほとんどである。誰でも麻薬の売人になれる。薬物使用の低年齢化が進んでいる。また、女性が吸引することで、胎児にも影響を及ぼす。コカインベイビー、大麻ベイビーなども生まれている。

オーバードーズは、違法薬物の使用以上に深刻で増えている。防止することは難しい。今は、一度に大量に薬を変えないようになっているが、ストックがあればオーバードーズが可能である。

▶当たり前の日常という奇跡 ――横浜大空襲の記憶をたどって

  ▶当たり前の日常という奇跡 ――横浜大空襲の記憶をたどって 5月30日、私は「横浜大空襲と戦後直後のお話を聞く会」という講演をお聴きしました。 1945年5月29日から30日にかけて行われた横浜大空襲では、約4,000人もの尊い命が失われたといいます。何の罪もない市民が一夜に...