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電子回路理論によるコロナ禍の分析


電子回路理論によるコロナ禍の分析 2021-1-25 特派員 祐二之田仲(南柏在住)

■ プロローグ
コロナ禍は、コロナウイルスと人類の戦いであり、人類は感染者の死という膨大な犠牲を強いられながらウイルスと闘い、収束という終戦を一刻も早く勝ち取ればならない。この戦いの戦法は、医学、経済学、社会学等の知恵が必要であるが、戦略には電子工学の理論による分析手法を活かすことができる。その理論は「臨界制動抵抗」という一種の制御理論である。

■ 臨界制動制御という電子理論とは
下図は、アナログ電圧メーターの動作原理図である。まず、メーターの動作原理を説明し、臨界制動について理解していただきたい。
(図1)


・図の下の端子よりメーターに電圧が与えられると、電流がコイルの中を流れる。コイルは、NS磁界の中にあるので、電磁誘導作用により駆動力方向へと回転し始める。
・針は、触れ始めるがそのままにしておくと振り切れて、ストッパーピンに当たってしまう。
・しかし、針の軸にはバネがあるので、その制動力が作用し、「針を回そうとする力」と「針の振れを止めようとす力」の両者バランスのとれた角度で止まることになる。
・こうして、メーターは測定値を示して止まる。しかし、実際の針の動作は、下図グラフ用にある実線グラフの様に振る舞う。つまり、振動し続け針が停止し落ち着くまでに時間がかかってしまう。この振動は不要なものでありむしろ障害である。因みに、この現象に関しては、電子回路理論では微分方程式で解析され予測可能なこととなっている。尚、この振幅動作は臨界制動抵抗がないメーター回路での動作である。    
(図2)



そこで、微分方程式で求めた値となる臨界制動抵抗器をメーター回路に挿入すると、不思議にも前記図の破線のグラフの動作となり、速やかに目標値に針が進みピタッっと止まる様になる。その理由は、駆動力になる電流量が抵抗器にて抑制され、またそれを抑えようとしていたバネの制動力も抑制されるので、両者の過剰な相互作用がなくなり振動なくスムーズな針の動きになる。

以上が、電子回路理論によるメーターの動作原理である。電子理論というのは、他の分野の科学技術よりも抽象化しやすい分野である。というのは、電器、電子機械はそれを目にして触ることはできるが、電気や電子自体を人間は見る事は出来ないので、電子理論は思考によって生み出された概念である。                

■ 電子理論のコロナ禍という社会現象への展開
前述のメーター動作の電子理論を形而上学として理解し、コロナ禍の社会現象に応用してみる。メーターの作用するあらゆ要素を、「社会共通資本」に置き換えてみる。社会共通資本とは、社会を構成する共通の要素であり、自然、インフラ、政治、経済、文化等を云う。(社会共通資本は、20世紀初頭期の社会学者であるソースティン・ヴェブレンが唱えた知見である)
・メーターの駆動力は  ⇒ コロナ感染力と置換え、その社会資本は、ウイルス自体の感染力、人と人の接触、三密空間、経済活動、不衛生環境、等
・メーターの制動力は  ⇒ 感染抑止力と置換え、  その社会資本は、ウイルスの死滅、人の非接触、非三密空間、経済活動の停止、衛生環境、ワクチン接種、等

上記、作用要素の置き換えが出来たので、電子理論をコロナ禍の感染動作に応用すると、その経過予測は下図のグラフになる。
(図3)



■ コロナ禍推移グラフの見方
人から人へ感染する種のウイルスが発生し、発現地で封じ込めをしないと拡散が始まる。それまで通りに経済活動が行われ、人の行き来があり、接触や三密状態にあればそれが感染力となり、爆発的な感染拡大となる。これを抑え込もうとして、ロックダウン、人の接触を避け、三密回避、そして経済活動の停止を実施すれば、それが感染抑止力となり、感染拡大の速度は下がりグラフは下降し始める。しかし、人間は社会的生物であるので感染者数が減じるのを見ると我慢することができず、再び社会的営みである接触、三密状態、経済活動等を再開するので、再び感染力が勝りグラフは上昇し、第二波を迎える。以下、このパラドックスが繰り返されグラフが振動波形になる。

■ コロナ禍の臨界制動に関して
グラフの破線カーブの通り感染力と抑止力を制御調整できるならば、感染の波もなく早期に収束が出来るが、メーターの動作と異なりコロナ禍の動作要素は多種で多次元にわたり複雑で、長期の予測は難しい。メーターの臨界制御値については、微分方程式に駆動力値と制動力値の二つを代入すれば求められるが、コロナ禍の計算要素は多数あり、その上それぞれの値自体が絶えず変化するので、方程式による予測は困難である。

■ フィードバック理論に関して
電子工学では、この様に予測困難な現象の制御の為に、フィードバック理論が用意されている。(フィードバック理論に関しては別の機会に説明します)。簡単に言うと、ある作用の推移をリアルタイムに監視し、それがオーバーシュートとならないように応力を与え制御する技術である。因みに、コロナ禍におけるオーバーシュートとは、医療崩壊の先にある人間社会崩壊、文明崩壊である。                
                    
■ コロナ禍における政治の使命
政府は、政治により前記のフィードバック制御を行わねばならない。社会的動物である人間は当然社会活動また経済活動を行うので、そのままでは感染者数は対数的に増加し続けオーバーシュートしてしまう。絶えず感染者数を監視し、増加に対し抑止の政策を実施しなければならない。

それが出来るのは、社会全体に対して強制力があるのは国家権力しかない。それは、メーター動作の制動バネにように、単純な一つの要素でなく、ロックダウン等各規制、隔離、PCR検査、行動制限、出入国制限、集会集合活動の制限、諸規制を破った者への刑罰制定、等々と多岐にわたる。このように複雑な多くの要素を、どのタイミングでどの程度の強制力で実施するかは、政治家の政治判断と政治能力が大いに問われる。統治された国でありながら、オーバーシュート前段階である医療崩壊となるまで無策である国の政治家は能力ないとしか言えないであろう。

もちろん、抑止制動をし過ぎてアンダーシュートとなってしまうと、人間社会が成り立たなくなり経済も崩壊し亡国となる。抑止規制を緩めるだけでは社会活動、経済が復活できないので、国家財源からの公共投資、補助金給付、補助事業、文芸復興、等々と多岐にわたる施策が必要である。かように複雑な多くの要素を、どのタイミングでどの程度の促進力で実施するかは、やはり政治家の政治判断と政治能力が大いに問われる事態である。

■ 総感染者数の分析法
電子工学での積分値は電力値を表し、コロナ禍グラフでは感染者総数を表す。電子工学では波形を積分すると電力値になる。つまり波形グラフが占める面積は、電圧と時間の積なので電力値[W/h]を表す。コロナ・グラフの場合、グラフ面積は感染者総数(のべ感染者)となる。下図の斜線部分が波形の面積であり、\斜線部が感染拡大と抑止の波が繰り返され収束まで長期間かかった場合の推移である。/斜線部は、感染制御された場合の、総感染者数である。見比べると一目瞭然で、後者の方がはるかに少ない。
(図4)



■ エピローグ
そもそも、このような感染カーブについて論じる事態になってしまったのは、感染源で封じ込め出来ず拡散してしまったからである。SARSウイルスを封じ込めが出来た国が、何故新型コロナウイルスについては発現地で封じ込め出来ないのか疑問である。「封じ込め出来ない」ではなく、「封じ込めしなかった」のは何か政治的な意図があったのではないかと思うことを否定は出来ない。(上図中にある「発生源封じ込め」が示すように、感染の初期に封じ込めした場合は感染者数はわずかである)

以上、グラフを以て感染現象を分析できるのは、アナログ電子理論を適用したからである。しかし、多くの人間、また不安状態にある人間というのは、単純化思考したがる性向があるので、デジタル的思考になってしまい、On/Off、正/悪、楽/苦、安心/不安という、両極値(二値)で判断してしまう。これでは、アナログ的思考で調整、制御することができなくなる。結果、一つの要素だけとり挙げては、「感染してしまう人は悪い人間」、「ウレタンマスクは悪い」、「都民は来るな」、「GoToで経済復興」等と短絡思考で右往左往する人間社会となってしまう。このような、思考状態では、様々な要素についての、感染/抑止の制御ができなくなる。

感染者の山である第一波より第二波が大きくなり、次の第三波は前の波より大きくなるという状況は、短絡思考に陥り感染カーブを制御できない状況と言えよう。因みに、グラフで示す収束とは、封じ込めでもないしウイルス撲滅でもなく、全人類全員が感染完了した時点が収束となる。人類有史上において撲滅できた感染症は、WHOが1980年に宣言した天然痘だけである。

現在は、グローバリゼーションの時代であり、一国、一地域に限ってロックダウンしても封じ込めにはならず、今後も感染は拡大し続けるのが現人類の運命であろう。但し、現代の科学のおかげでワクチンと医療の普及により、オーバーシュートとアンダーシュートさせない制御が行えるならば、発症者と死亡者をはるかに低く抑えられるはずである。

プロローグで述べたことをまとめると、コロナ禍は、ウイルスと人類の戦いであり、戦略的に感染と抑止を制御し、出来る限り死亡者を減らしつつ、人類全員が免疫を獲得し収束させねばらない、と言うことである。

人類の英知を結集して対策することで、一刻も早くコロナ禍が収束することを願うばかりである。

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